2025/4/29

腰椎術後の経過・リハビリについて

腰椎術後の経過・リハビリについて
 
 腰痛の85%は原因の分からない非特異的腰痛、残りの15%は特異的腰痛と言い、何らかの原因があります。
 特異的腰痛の代表としては、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアがあります。これらに十分な保存的療法を行っても症状が変わらない場合、著しい疼痛がある場合、足に力が入りづらくなる場合、おしっこが出しずらい場合などには手術に至ります。
 手術には以前紹介したように、①椎弓切除術、②脊椎固定術などが、今回はこれらの手術後の経過やリハビリテーションに触れていきたいと思います。
 
 手術は全身麻酔によって行われ、手術当日はベッド上で安静と、足の自動運動を開始します。これにはエコノミークラス症候群で知られる、深部静脈血栓症を予防する効果があります。
 
 術後1日目にはコルセットを装着し、座ったり立ったりが可能であれば、歩行器での歩行を開始します。
 術後2日目には血抜きのドレーンや尿バルーンが取れ、さらに歩行を促していくことになります。
 徐々に疼痛のない範囲で、下肢の筋力訓練やストレッチを行い、また必要な部位にはマッサージを行います。
 術後5日目からはガーゼを保護しながらシャワーもできます。
 術後7日目には抜糸を行い、翌日にはガーゼも取れます。このころより歩行器を外して、一人歩きや杖での歩行を促します。
 術後10~14日ほどで階段昇降を開始し、同時に日常動作や職業動作の指導を行い、術後約3週間で退院となります。
 
 退院後は自宅で療養し、無理な動作は避け、また以前お伝えしたように、体感筋の筋力訓練やストレッチを続けてもらいます。
 日常生活では、ベッドから起き上がる時は一度横を向いて起き上がるようにする、物を持ち上げるときは膝を曲げて、できるだけ身体に近い所で持つようにする、腰をひねらず下半身と一緒に動かす、などに注意し腰の負担を軽くしてあげて下さい。
 
 デスクワークであれば術後1カ月以内、軽作業であれば術後1カ月半~2カ月ほど、重作業であれば術後2~3カ月ほどで職場復帰とし、その後は定期的に外来で経過を見ていきます。
 
詳細は整形外科受診時に、聞いていただければと思います。
 
うちのう整形外科  錦町
院長 矢坂治彦
日本整形外科学会専門医