2025/3/12

小児整形外科で多く見られる病気や疾患

小児期の外傷の治療だけではなく、生まれた時から治療を始めなければならないような先天性疾患や、成長とともに症状を発症する疾患もあります。
 
先天性疾患としては「先天性内反足」「筋性斜頸」「手足・上下肢・脊柱の奇形」などがあります。
 
代表的な先天性疾患である「先天性内反足」は、生後2週間程度で治療を開始するケースが多く、受診後は1週間おきに通院しながらギプスでの矯正や装具による治療、必要であれば手術を行い、きれいな足の形にしていきます。
 
成長過程に発症する疾患としては、「側弯症」「ペルテス病などの骨髄症」「O脚・X脚」などがあります。
 
学校健診などで指摘されることの多い「側弯症」は思春期の女児に多くみられるもので、背骨が弯曲側弯し角度によって治療方針が異なります。一般的に弯曲している角度が20度未満であれば経過観察、20度を超えて45度未満だと進行防止のための装具療法、45度以上であれば手術による矯正となります。しかしながら一概に数字だけで決まることでもなく、その時の年齢、二次性徴の有無など様々なことを考慮して治療方針を立てます。
 
「骨折」についても、成長途上の子どもの場合、ただ骨癒合するだけではなく、成長していくにあたり変形が生じてこないか?など、大人の骨折とは違った視点から治療経過を見ていく必要があります。
 
他には基礎疾患がある患者さんに対して、整形外科的治療を要するものもあります。「脳性麻痺」「二分脊椎症」などの患者さんには、将来的にどのような運動を見込むことができるか、それに対しその時に必要な治療は何なのかということを判断して治療していきます。その内容は手術もあれば補装具の作成、注射による治療など多岐にわたります。
 
ここで述べた疾患は小児整形外科分野のごく一部ですが、成長途上の小児の将来を見据えての治療が、通常の整形外科分野との大きな違いになります。
 
うちのう整形外科
うちのうリハビリテーションクリニック
整形外科部長 戸澤 興治
 
日本整形外科学会専門医
日本小児整形外科学会認定医・評議員
日本小児股関節研究会幹事