2024/12/15

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症 ~その症状と治療~
 
腰に関しては様々な疾患がありますが、今回はその中でも遭遇する機会が多く、たくさんの高齢者を悩ませている腰部脊柱管狭窄症について解説します。
 
 
Q.脊柱管とは何ですか?
A.脊柱管とは背骨・椎間板・関節・靭帯等で囲まれた脊髄の神経が通るトンネルです。
 
 
Q.腰部脊柱管狭窄症とはどのような病気ですか?
A.加齢に伴い、背骨が変形したり、椎間板が膨らんだり、靭帯が厚くなって、先述した神経の通る脊柱管が狭くなってしまいます。それによって神経の血流が低下したり、神経が圧迫を受ける病気です。
 
 
Q.脊柱管狭窄症になるとどのような症状が出ますか?
A.主な症状としては間欠性跛行、下肢の疼痛・しびれ、筋力低下、膀胱直腸障害といったものが知られております。中でも特徴的な症状は、歩いている時に下肢のしびれや痛みの為に立ち止まってしまうことを繰り返す間欠性跛行です。太ももや膝の下にしびれや痛みが出てきて歩きづらくなり、休憩するとしびれや痛みは軽減され、再び歩き始めることができるといったものです。症状の進行した人では数十メートルと歩けなくなってしまいます。
 
Q.どのような検査を行いますか?
A.レントゲン・MRIなどが中心となってきます。レントゲンでは主に骨の評価を行い、骨の変形やすべりがないかを評価します。MRIでは神経やその周囲組織の評価を行います。また、必要に応じて脊髄造影やCT検査、神経根造影も行います。
 
 
Q.どのような治療を行いますか?
A.基本的にはお薬、リハビリ、各種ブロック注射といった保存療法が選択されます。しかし、そのような保存療法を行ったにもかかわらず効果が得られない場合には手術も考えなければなりません。
 
 
Q.手術のタイミングや方法は?
A.十分な保存療法を行ったにも関らず症状の改善がなかったり、強い痛みの為に歩行が極端に制限されている場合、また既に膀胱直腸障害や下肢の筋力低下を認めるような症例には手術を行います。手術の方法としては背骨の骨や周囲組織を削り神経の圧迫をとる「椎弓切除術」、また骨にずれや異常な認めるような場合にはそれに加え「固定術」も行っていきます。手術によって症状の改善が見込まれ、長歩きができるようになったりと日常生活のレベルの向上が期待されます。
 
 
Q.同じような症状をきたす病気は他にありますか?
A.下肢の疼痛やしびれをきたす病気は他にもあります。同じ脊椎の病気としては腰椎椎間板ヘルニア・脊髄腫瘍などが、血管の病気としては閉塞性動脈硬化症、その他には糖尿病による神経障害などでも同様の症状が出ることがあります。
 
上記の症状が認められる方は、早めに脊椎・脊髄専門医を受診され、適切な診断・治療を受けられることをお勧めします。
 
うちのうリハビリテーションクリニック
院長 矢坂治彦
日本整形外科学会専門医